皆さんは、持久力を維持するためには、鉄分が重要ということを聞いたことがあるでしょうか?
なぜ、鉄分が持久力と関係するのでしょうか?
運動するときには酸素を消費している
「有酸素」運動という言葉があるように、人が運動するときには、酸素を消費して運動をします。
なので、酸素の供給量が足りなくなると、運動を続けることが困難となります。
つまり、酸素の供給能力が、持久力に大きく関係してくるということです。
誤解のないように言いますと、運動には酸素とエネルギー源の両方が必要です。火が燃えるためには、薪や油などの燃料と酸素の両方が必要というのと同じですね。
酸素を運搬するのが鉄
鉄は体内で、ヘモグロビンの材料になります。そのヘモグロビンが酸素と結びついて、血管内を走り、あらゆる筋肉に酸素を届けています。
鉄は酸素と非常に結びつきやすい性質を持っています。コーティングしていない、鉄の釘などを放置していると、すぐに錆びて、赤茶色の錆が表面に浮いてきますね。これを酸化鉄といいます。酸化鉄は塗料に使われるくらい赤い色を発しますので、ヘモグロビンを含む赤血球も赤いというわけです。
話が逸れましたが、鉄は酸素と結びつきやすいという性質を利用して、体中に酸素を運んでいます。
鉄欠乏性貧血による酸素不足=持久力の低下
では、その酸素の運び屋である鉄が体内に十分になかったらどうなるでしょう?
当然、十分な酸素を体中に運ぶことができなくなり、運動に必要な酸素量を供給できなくなることから、運動ができなくなる、つまり持久力が下がっているように見えます。
普段の生活をする上でも十分とは言えない量の鉄しか体内にない状態を「鉄欠乏性貧血」と言います。
アスリートの場合は、普段の生活以上の運動をするので、鉄分は十分にないといけません。
鉄分が不足気味のアスリートは多いので、十分注意しましょう。
なぜ鉄分が足りなくなるのか?
様々な要因が考えられますが、代表的なところでいうと、月経などによる出血や激しい運動により赤血球が壊れることなどが挙げられます。
表面上わかりにくい例では、胃潰瘍などの場合は、胃の中で出血して、便として出るときには変色して黒色となるので注意が必要です。(胃潰瘍などの傷病による出血は直ちに受診してください。)
鉄を補うにはどうする?
鉄分を多く含む食材を食べてください。赤身の肉類や貝類が鉄分を多く含みます。昔からレバーが代表格として言われますね。先ほど述べたように、酸化鉄は赤くなります。つまり、同じ肉でも、より赤い色の方が鉄を多く含むと考えてもらえば、一つの目安となるでしょう。
そのほかの食材もありますので、そのような視点で食品成分表を眺めてみても楽しいですよ。
ただし、吸収効率のよい「ヘム鉄」と、そうではない「非ヘム鉄」があるので注意してください。
サプリメントを利用するのは?
最近はサプリメントで手軽に鉄分補給をすることができます。とても手軽で便利ですが、鉄は過剰摂取すると、内臓への負担が大きく、中毒を起こすことがあるので注意が必要です。
(鉄に限らず、ミネラル類や脂溶性ビタミンは過剰摂取に注意が必要です。)
貧血気味と思ったら、一度医師に相談してみてください。